ニセコのスノースクールで働いていた時、1シーズンあたり15校くらい日本の高校が修学旅行で来てたんですが、その中の数校は外人インストラクターが担当しました。スキーをするのは1校あたり2日半〜3日。
日本語ができる人でないと対応できない生徒がいる時もあるので、日本人インストラクターの班をいくつか作る学校もあれば、全班外人インストラクターという学校もありました。
外人インストラクターの修学旅行の時、日本人であるエスニック鈴木は、班は持たず、後方支援で巡回などをしていました。その時に海外と日本の考え方や感覚ってやっぱり違うんだなあ、と思った出来事を3つご紹介します。
日本人にも外人にも色々いるのは分かってますし、日本以外の国を海外と一括りにするのは雑な括りですが、細かく見ていくとキリが無いので一括りにしちゃいました。
考え方や感覚の違いを実感した出来事3つ
班を解散してフリー滑走
高校の修学旅行でやって来る生徒達はほぼ全員、初めてのスキーか中学のスキー学校で1回やったことがある、と言う人。
なので、まず最初に真っ平らなところでスキーの道具や滑る感覚に慣れたり止まる練習をして、止まれるようになったらリフトに乗ります。遅くとも2日目には全生徒がリフトに乗って滑れるようになります。
生徒全員がリフトに乗る2日目にどういうことが起こるかというと、1本しかない完全初心者用のリフトに全ての修学旅行生が集合します。
人数が多い学校は全班を2グループに分けて昼休みを15分ずらすんですが、それでも行列ができてしまいます。人数が多い学校だとバブル期並みのリフト待ち。
そうなると後方支援組はその混雑している斜面を巡回したり、いつまで経ってもリフトに乗れないというクレームが一般客から出ないよう、リフト乗り場で修学旅行生と一般客の列を整理したりします。
その混雑している斜面を巡回していたある時。リフトから様子を眺めていたら、フリーで滑っている生徒がちらほら出てきたんです。近くにインストラクターが見当たらない。
レッスン中であることを考えると、この状態はおかしいんです。
というのも、修学旅行のスキー学校では、というか、普段のレッスンもですが、初心者クラスだと、滑る時はインストラクターが先頭になって生徒がその後をついていくパターンが多いです。
高校側としては集団行動を重要視しているスキー学校で、生徒が自由に滑るということは、フリー滑走の時間以外はあり得ない。
どういうことかと思い、リフトを降りてすぐ、斜面で暇そうに立っているインストラクターに事情を聞きにいったところ、
何人かのインストラクターが相談して、自分の班の生徒を自由に滑らせて、インストラクター達は一つの斜面に等間隔に立って彼らを見守ることにした、とのこと。
彼らの頭の中には日本の常識というものはないので、こういう仕組みを作っちゃうんですね。
この仕組みは滑れる人と滑れない人がそれぞれ自分のペースで滑れるし、自分のペースで滑る分リフト待ちの長さに対して許容できるようになるから、そういう面ではいい仕組みだと思ったんですが、
高校の先生や旅行会社の添乗員から見れば、生徒を放っておいてインストラクターは何もしてないという図が出来上がります。
調子に乗った生徒がスピード出して怪我したり、させたりすると、安全管理がなっていないということになり大問題。
なので「いいアイデアだと思うけど、日本の学校行事では集団行動に重きが置かれていてそのやり方はNGなので、自分の班の生徒と一緒に滑って」と彼らに伝えました。
当時は、問題が発生する前に気づいてよかったと思っただけでしたが、今、改めて振り返ると、実社会では仕組みを作った側が勝つので、集団行動に重きを置いて何も考えないのも問題だよな、とも、思います。
あと、修学旅行では生徒のレベルが揃っていない班は、進みの遅い生徒に進みの速い生徒が合わせることになります。
外人インストラクター側からすると、レベルの違う生徒を同じ班でいつまでも滑らせる事が理解できず、それがストレスになります。
差が大きすぎる場合は生徒の班移動もあるんですが、
移動先の班が全員違うクラスの人で面識がないと移動したがらなかったり、
1班あたりの人数が10人超えるとハンドリングが大変になったり、
インストラクターの数が限られていたり、などの諸事情あり、
多少のレベル差では班移動が発生しないことが多いです。
なので、インストラクターがある程度のレベル差は吸収しないといけません。
やっぱり時間厳守は難しいらしい
巡回が気を使う事の1つは時間厳守。
最終日だと、スキー終了後はそのまま千歳空港に行って帰る、なんていう時もあり、遅れると大ごとになるので、高校の先生や旅行会社の添乗員がちょっとピリピリします。それが後方支援人員にはプレッシャー。
帰りの便に間に合わないとなると他で時間を挽回するのが大変だし、色々と影響が大きいのでピリピリするのも分かります。
でも、それ以外だったら5〜10分でそんなにピリピリしなくてもいいんじゃない?と思うんですが、大人の事情でそうもいきません。
そうは言ってもやっぱり、時間に対する厳密さが、日本人の感覚からするとちょっとユルいんですよね〜
あと、ルールを守ると言うことに対しても、外人のほうがユルいというか、適当というか、そんな感じの人が多い印象です。
なんか楽しそう
先に言っておくと、日本人のインストラクターも楽しくグループを動かせる人はたくさんいます。
が、日本人にいて外人にいないタイプが1つだけあるんですよ。
それはどんなタイプかと言うと。
コミュニケーションが威圧的な感じのインストラクター。
「おい、こら!おまえ!!」みたいな、上から抑え込む感じの人。
200人近くの外人インストラクターを見ましたが、このタイプは1人もいなかったです。
もっとサンプル数が多ければいるのかもしれませんけど。
高校の修学旅行は教育の一環とはいえ「楽しく安全に」大前提で、安全面が守られない場合はちょっと締めないといけませんが、それと威圧的に接するのは違いますからね…
ちなみに、外人全員がテンション高いわけではありません。穏やかだったり静かな人もいます。中にはダルそうな感じの人も、ぶっちゃけいます。日本人も同じくです。
彼らを見ていて思った事
外人インストラクターが高校生にスキーを教えるって、お互いにとってすごくいいと思いました。
まず、英語を勉強はしてるものの話す機会がほとんどない高校生が、日本語は挨拶程度しか分からない外人に対して意思疎通するにはどうすればいいか考えます。
外人に英語を使って話す事に対してビビりがちな日本人ですが、外人インストラクターと一緒に滑った高校生たちは「イメージ先行でビビりすぎてたんじゃね?ていうか、そもそも失敗を恐れすぎじゃね?」ってことを体感できると思うんですよね。
巡回しながら眺めてると、最初はやっぱり、高校生に緊張の様子が見て取れるんですよ。でも、2日目になれば緊張も解れて楽しそうにスキーをしてます。
一方、ニセコにワーホリで来る外人のほとんどは、日本に興味があるから日本に来るというよりは、世界でも有名なニセコの雪に興味があるから日本に来る人がほとんどです。
なので、彼らにとっては、日本人と長く接する時間はこの時以外にないと思います。普段のお客さんは日本以外の人々ですから。
そして、外人インストラクターも結構楽しそうにやってます。ある意味、彼らにとって日本人の高校生と滑るというのは一種のイベントですからね。
まあ、2校連続で1週間くらい続くと、言葉が通じなかったり、日本独特の集団行動に合わせたり、と慣れない事をしているので、疲れ切ってしまう人も出てきますが、まあ、いい経験ですね。
しかし、スクールに所属していたインストラクターのうち、85%にあたる約60人が外人だったからこそできる企画だったなと思います。今もやってるのかな?
それでは、今回はこの辺で終わりにします。
海外に興味ある若者はワーホリ取って海外で働きながら滑るという選択肢もあります。北半球と南半球を行き来して1年中滑ることも可能な上に英語が覚えられるというおまけ付き。若い人には色々経験してもらって、人生の選択肢を増やしていってほしいです。
もうワーホリ取れる年齢は過ぎてしまったけどスキーしてお金稼げたら最高だなと思う人は、年末年始や週末に非常勤でスクールに所属するという選択肢もあります。いかがでしょうか。
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